騙すなら墓場まで




 私は伊月さんの手を握り、あらためて感謝を伝える。

 伊月さんの目元がほんのり赤くなった……と思ったら、何かを決意したように私の手を握り返した。


「それなら……俺の願いを叶えてくれないか?」

「私にできることなら」


 伊月さんは深呼吸をして、片膝をついた。


「結婚式を挙げてほしい」

「……」


 返答につまった私をどう思ったのか、彼は言葉を続ける。


「これは俺のわがままであって、君の意思を最優先にするのは絶対だ」

「結婚式を……」

「一年前は俺のせいでめちゃくちゃにしてしまったから、上書きさせてほしい」


 伊月さんは審判を待つように私の反応を待っている。もう決まっているのに。


「一年前より豪華な式にしましょう」

「え?」

「警視正の式なんですから、それなりに格式のあるものにしないとまずいでしょう」

「美節さん、それは」



「しましょう。結婚式」