騙すなら墓場まで




 ヘソを曲げた子どものような顔つきで非難され、「そうでしたね、約束でした」と自然に笑っていた。


「私こそ、三日も看病してくださってありがとうございました」

「どうしてそれを……」

「正恵さんと担当の先生が教えてくれました」

「先生もか……」


 伊月さんはがっくりと肩を落とし、「どうして俺の近くには口が軽いのしかいないんだ」と力なく呟いていた。


「どうしたんですか? 私、嬉しかったのに」

「こういうのは、あれだ、ペラペラ話すような内容じゃないだろう?」


 伊月さんは喉に言葉が引っかかっているような面持ちでそう言った。私は首を傾げて補足を試みる。


「その、恩着せがましいような真似になってしまうからですか?」

「そう、それだ!」


 大きく頷く伊月さんに、私は静かに首を振った。


「これ以上、あなたから恩は着せられませんよ。今でさえ着膨れしているようなものなのに」