騙すなら墓場まで




 最終的に見つかってしまったけれど、あのとき正直に話していれば良かったのかもしれない。

 ……どうしようもない結果論だ。


「カレーを作ってくれてありがとう。美味しかった」


 食べてくれた。

 美味しいと言ってくれた。

 その事実に頬がまた熱くなる。


「……捨てられたと思ってました」

「あのあと連絡もしなかったし帰らなかったからな……」


 伊月さんはきまりが悪そうに後ろ頭をかいた。


「仕事が立て込んで……どうにか洗う時間を作れたんだがそのまま忘れてしまって……」

「正恵さんがすごい怒ってました……」

「会えないどころか電話にもでなかったからな……」


 私が家を出る準備をこっそりと進めているときに、正恵さんが受話器に怒鳴り散らしていたことがあった。

 何事かと気配を消して耳だけ大きくすると、電話もしてこない伊月さんに向かってお説教を繰り返しているのが聞こえてきたのを思い出す。