騙すなら墓場まで




 それ以上はどうしても言葉にできなかった。

 私にそんな資格はない。


 なのに、大きくてゴツゴツした手がすっぽりと私の顔を包んで上を向かされた。


「好きだ」


 懇願するような、祈るような。

 潤んだ瞳が心のひびにじんわりと沁みて、頭の芯がぼんやりしてしまう。


「一年前から……坂崎の秘書をしているときから、好きだった」

「え、あ……?」

「純粋な君に惹かれていた……嫌な奴なら良かったと何度思ったか」


 これは夢?

 もしかしたらまだ病院で眠っているのかもしれない。それか今までの生活が夢で、今もアパートで寝ているんじゃないか。


「それでも坂崎の逮捕は悲願だったから……だから、君に嫌われるようなやり方をした」

「嫌うだなんて、そんな」

「君に嫌われて、吹っ切りたかった……まぁ、無理だったが」


 親指の腹で私の涙をぬぐって、くしゃりと顔を崩した。


「行方も探していたんだ。あれから一年間」