伊月さんは表情を引き締めると、とうとう教えてくれないまま部屋を出ていってしまった。
正恵さんは手際良くナースコールを押して、看護師さんに私が目を覚ましたことを伝える。返答の雰囲気からしてすぐ来てくれるだろう。
「正恵さん、私……どのくらい眠っていたの?」
「丸三日です。幸いそこまで強く打ってなかったそうで、本当に安心いたしました」
丸三日。そんなに眠っていたのかと思うけれど、実感がわかない。
「誰が救急車を呼んでくれたんですか?」
「犬の散歩をしていた男性が呼んでくれたそうです」
「そう、お礼を言わないと……」
「奥様、今はゆっくり休んでください」
正恵さんはテキパキと着替えやタオルの準備をしている。言われてみると、まだ気分はふわふわとして色々と考えるには時間がかかりそうだ。
足音がパタパタと聞こえてきて、ドアがまたノックと共に開けられる。



