騙すなら墓場まで




 私がそう呟くと、伊月さは目で同意した。


「君を使って坂崎に思い知らせるつもりだったんだろう。自分の家族がボロボロになっても、何もできない苦しさを味わえと」

「……萩野さんは、どうしてわかったんですか?」


 さりげなく伊月さんから目線を外し、続きを促した。


「土門さんから聞いた、と言っていたな」

「土門さんが……」

「被害者の一人から相談をされたらしい、怪しい誘いを受けたと」

「そうだったんですね……」

「萩野さんから君を守ってほしいと頼まれて、あの老人ホームに行ったんだ。警護するにしても、状況を把握したかったから」

「……」

「事態は……思ったより深刻だった」


 私はそこで一つの疑問にぶつかった。


「そこでどうして結婚の話になったんですか……?」


 萩野さんに頼まれて私を守ろうとしたのはわかる。彼は警察官だから。自分の職務を全うしようとするだろう。