騙すなら墓場まで




「どこから話すか……うん、萩野さんに聞いたことからにしよう」

「萩野さん?」


 なぜここで萩野さんが出てくるのだろう。まさか……。


「言っておくが彼女とは何もないからな」


 思考を読める能力があるのだろうか。言おうとしていたことを先に否定されてしまった。


「わかりました……その、萩野さんと何かあったんですか?」

「連絡をもらったんだ。君が狙われているから助けてほしいと」

「私が……」


 前に暮らしていたアパートを思い返してみる。パトカーに囲まれた薄茶色の壁。伊月さんから聞かされた落書き。


「どうして萩野さんがそんなことを……?」

「老人ホームで働いている君を、冬原さんが見つけたそうだ」


 点と点が線でつながる感覚がした。どうして気づけなかったんだろう。


「冬原さんは父親や……同じような報復を考えている連中とつるんで、君に手を出そうとしていたんだ」

「……お父さんへの復讐のために」