少女と過保護ーズ!!続

「八雲は……俺らにはそんな素振り1つ見せなかったが"あの時"のこと」


桂が口を開く。

"あの時"のこと。


やっぱり……。


「トラウマになってんな。さっき物凄い魘されながらチビ助と志門の名を叫んでた」


志門。

それは俺らにとって赦されざる者の名。

ハイネを拐い、ハイネを傷つけたーーーーー。


ギリィっと俺は歯を食い縛る。


終わってもまだ、ハイネややっくんを苦しめるというのか、あの男っっ‼

ハイネはあの男の処分を工藤組に任せた。

俺は納得してないけど‼

雪代さんならきちんと処分してくれるって。

いやいや、絶対に私情入れると思うけど‼


ハイネは志門のことが心底どうでもいいらしい。

俺以外は「そりゃあ志門にとっては最悪の罰だな」って笑ってた。

確かにね、好きになった人にどうでもいいって思われるのは俺でも嫌だ。

しかも志門はあれだけしといて、どうでもいいって。


ん?


よく考えたら確かに凄い罰だな。

けど、やっぱり……俺の大事な人達が苦しんでるなら、今すぐにでも工藤組に行って奴をボコボコにしたいーー。

そんなことを思ってたら、竜くんに頭を撫でられた。


「んで?その八雲はどうしてる?」

「さっき目を覚ました。今はチビ助といる」


桂の話では寝てる間にやっくんは暴れたらしい。

きっと夢の中でもハイネを取り戻そうとしたんだ。


やっくん……。


「チビが行ったなら問題ねぇな」


穏やかな声で、表情で言う竜くん。


「は!?んな訳……」


ずっとしかめっ面で話を聞いてた蓮が食って掛かるけど。


「バカタレ。あの二人だぞ」


一閃。

その言葉に納得してしまう俺。

ハイネとやっくんは互いが互いを本当に大事に想ってる。

桂もそう思ってるのか、笑った。


「想いあってる二人がもう離れることなく側にいるんだ。傷なんざ、すぐに癒える。それでもあの二人でも治せない傷があるなら、そこは俺達がいる」


全身全霊であの二人の傷を癒そうーーーーー。


"家族"なんだから。


な?


と柔らかく優しく笑う竜くん。


本当にこの人は……。


「ああ‼チビネの傷は俺が癒す‼」


力一杯叫ぶ蓮。

いやいや、さっきの話聞いてた?

二人をつっただろうが。


「麻也‼なんで睨む!?」

「えー。じゃあ、俺が八雲ー?良いけどー」


頬に手を添えて赤くなるなアホ桂。


そんな俺らを見て静かに微笑む竜くん。