少女と過保護ーズ!!続

「優っ」


井坂さんが駆け寄ろうとして、けれど踏みとどまった。

自分はあくまで"呼ばれた"だけだと思い出したかのように。

4日ぶり?に見た優さんの顔には複数の殴られた痕が残ってるけど、薄くなっててもうほどんど目立たない。

それは"黒豹"の皆が手を出さなかった証でもある。

ここ4日間ずっと"黒豹"の車庫に居たと聞いた。


幾度となく、皆殴ろうとしたんだって。

うわ言のように"寧々"と呼び続ける姿に、あたしをあたしだと認識しない優さんに、心底腹が立ったんだと。

でも殴るなら"あたしが最初"ってのがあったらしくて皆我慢してくれたんだって。

本当に優しい、大好きなあたしの家族。


ほっこりした気持ちになるも・・・顔を上げた優さんと目が合った瞬間、ザッと自分の気持ちも体温さえも一気に下がった・・・・・・・気がした。


優さんの目が喜色で三日月に細まる。


「っっ」


まざまざと記憶が甦る。

体を這う手の感触。

殴られた頬が・・・・踏みつけられた指が・・・縫った足がジクジクと痛む。


優さんが口を開いた。


"寧々さん"


そう言われる。

覚悟をした。

でも・・・・

温かいものにあたしの体は包まれた。

安心するチョコの甘い香り。

誰かなんてすぐわかる。


「八雲さん」


そして優さんは憎々しげに、それでいて怯えたように口を閉じた。


何?どうして?


「??・・・皆」


あたしは八雲さんに抱きしめられ、すぐ後ろには皆が居た。

並んで優さんを睨み付けてる。


"黒豹"皆の睨み。

それは恐ろしいわ。


「ふふ」


恐怖も忘れて笑ってしまう。


「ん?」

「なんでもない」


んギュッと甘えるように八雲さんに抱きつけば、しっかりと抱き返してくれる。


大丈夫。

大丈夫だ。


「・・・・こっちへ」

「優・・・」

「こっちへ来い・・・・お前は」


優さんがこっちへと焦点が定まらない様子で近付いてくる。

どうする!?

と目で問うてくる有馬と井岡を制して、そのままにしとく。


あたしの目に写ったのは悲しげな井坂さん。

優さんの目を覚まさせなければならない。

優さんのため、ではなく、あたしのために。

そしてこんな仕打ちを受けても尚、この人を心配をする井坂さんのために。


睨むように優さんを見れば、その目が気にくわなかったのか、焦点定まらなかった目を吊り上げてあたしを睨んできた。


そして


「こっちへ来い‼お前はっっ‼」