少女と過保護ーズ!!続

ド派手な音が確かに増えてる。


でも姿は見えない。



「停めろ」


「へ?」


「車、そこの脇で停めろ」


「え?いや…」


「殺すぞ?早く停めろ」


「ハイッ!!!!」



車が急停車した。


どうして車を??



「ちょっ…」


「下りろ」


「ハッ!?」


「早くしろ」


「総長…?」




志門が先に車から下りて、手首を掴まれる。


力で敵うはずないあたしは引き摺り下ろされた。


井坂さんもあたしに付いて降りる。



「もう"邪魅"は終わりだ。お前ら逃げるなり、"黒豹"に挑むなり好きにしろ」


「ハッ!?」


「え?」


「それってどういう…」


「総長!?」


「じゃあな」



バンッッ!!



戸惑う"邪魅"メンバーを車に残し、志門は勢いよく扉を閉めた。



この男、本当に仲間をなんだと…。




「待って!!何処へ行こうっての!?」


「おいお前、もうお前に用はねぇから何処へでも行け」



井坂さんに感情籠らぬ視線を向け、それだけ吐き捨てると歩き出す志門。



「何処へでもって、その子はっっ……」


「行け。また捕まりたいのか?」


「……っっ」


「巻き込んでごめんなさい。手当てありがとう。あたしは大丈夫だから」



不安気にあたしに手を伸ばす井坂さんに、握りしめてたホイッスルを放る。



「ソレを吹いたら"黒豹"が、あたしの仲間が来てくれるから、きっと助けてくれる」



そしたら、もう大丈夫だから。


泣きそうな井坂さんを置いて、細い道へと入って行く志門に引き摺られるあたし。


少し心配だけど、皆ならきっと井坂さんを保護してくれる。



そして高らかと響き渡ったホイッスルの音。



八雲さん。


その音を聞きながらあたしは祈る。


どうか無事で――――。