少女と過保護ーズ!!続

その腕の中で殴られた恐怖よりも、仲間を見捨てるコイツへの怒りの方が勝り、侮蔑と殺気を込めて睨む。


志門からはさっきまでの余裕は消え失せていた。


しかし、どうしよう…。



志門は、アジトに帰らず別の場所へ行くと言った。



そんな場所、皆は…八雲さんはわかるだろうか?



只でさえ、ここは他県。



地理的には断然"邪魅"が有利。



どうする……なんて。


もう"コレ"しかない。




"吹け"!!




『これを鳴らしたら皆が…俺が必ず駆けつける』



今がその時。



「…気持ち悪い。……外の空気を吸わせて」



志門を睨んだまま言う。



「勝手にしろ」



ワンボックスの一番後ろ。


ドアもないし、このスピード。


窓から逃げれるはずもないと思ったのか、すぐに許可は出た。



「少しの間、耳を塞いでいて下さい」


「……?」



井坂さんに場所を代わってもらう時、ソッと耳打ちする。



小さいのに"コレ"、めっさ良い仕事をするからね!!



あたしは服の下から、大切な証であり相棒を取り出した。



お願い――。



窓を開けて、祈りを込めて。



あたしはホイッスルを口にくわえた。