去年の記憶が蘇る。
私が、深瀬くんのことを気にし始めたきっかけになった、彼のデザインした服。
自由で、独創的で、他人に縛られないような服。
いつも自分の気持ちを押し殺してしまう私に、勇気ときっかけをくれたその服の製作者があの深瀬くんと知ったとき、居ても立っても居られずに、展示室に置いてあった感想用紙を手に取った。
その場でさっと書ききれないからって家に持ち帰って、深瀬くんが目を通すとも分からないのに気づけば用紙にびっしりと感想を書いていて。
文化祭2日目の朝に、誰もいないのを見計らってこっそりと深瀬くんの作品用の感想用紙入れに出したのだ。
「…でも、あれって無記名だったよね?なんで分かったの?」
名前を書く欄はなかったはず。誰が書いたか分からないと思ったからこそ、私はあんな風に好き勝手感想をぶつけられた。
「朝、やっぱ自分の作品がどうみられてるのか気になって感想用紙入れを見に行ったんだ。その時にこそこそ展示室にはいってくひまりを見かけて、それで」
「盗み見るような真似してごめん」と謝る彼に言葉を失う。

