* 「うわ、立派…」 新学期が始まって1ヶ月と少しが経ったころ。 5月半ばの日曜日に、私はお母さんとお姉ちゃんと家から少し離れた呉服屋に足を運んでいた。 というのは、今年大学一年になった姉の成人式の着物を選ぶためだ。 歴史ある感じで重厚な雰囲気を持つ日本家屋。 入り口には家紋のようなものが描かれた暖簾がかかっていて、錦糸や銀糸で豪華な刺繍が施された立派な着物が二点展示されている。 一つは花柄が多くあしらわれた桃色のもので、もう一つは紺色の涼しげな印象なものだ。