――と、思ってたのに。 座席を確認し終わったらしい深瀬くんは、私の座っている窓側の席のほうへと向かってきた。 なんだか嫌な予感がして、背中を冷や汗が伝っていく。 落ち着け、今の座席は名簿順なんだから深瀬くんが窓側よりの席なのは当たり前。 こっちに来たからって、近い席になるとは限らない。 そう思うけど心臓は緊張でバクバク言ってるし、手も心なしか湿っている。 こんなことなら、ちゃんと周りの座席が誰かも確認しとくんだったな。 そうしたらこんなに今緊張することもなかったのに――。