男は加奈子の口から煙草を取った。

手が加奈子の唇に少しだけ触れた。

二本の煙草を手に持つと、男は

「誕生日、おめでとう」

と言った。

「ろうそくのつもりなの?」

「ああ、そのつもりだけど」

「気障なのね」

「ああ、昔は気障だった」

「馬鹿だったのね」

と言って加奈子は笑った。