私と彼の婚約が決まったのは中学2年生の冬だった。
家に帰ったら玄関にとても綺麗な靴があった。どんな方が来ているのか気になり、お座敷に見に行った。するとお座敷にはお父さんとお母さん、そして知らないおじさんがいた。
「あ、藍。おかえり」
「おかえり。学校は楽しかった?変な人に話しかけられたりしなかったか?」
もう……お父さんは心配症なんだから。入学してから毎日聞いてくる。
「お父さん、お母さんただいま!学校はいつもどうり楽しかったし、変な人にも話しかけられてないから。心配症すぎるよ」
「藍は可愛いから心配なんだよ。登下校で襲われないかとか、学校の男の子たちにしつこくされないかとか、いつも心配なんだよ」
過保護すぎる。そして親バカ。
「あの、そちらのお客様は……?」
とても気になっていたことを尋ねた。
「あ〜!えっと……お、お父さんの親友なの!だから藍は部屋にいてね」
「そうだな。藍は部屋で待っていなさい。まだゆっくり話していたいから」
