* * *
「はい、ロイヤルミルクティーです」
「あ、ありがとうございます」
「そーちゃんの淹れてくれる紅茶、めっちゃおいしいから!」
「紗良ちゃんは何飲む?」
「あたしも同じの!」
「はい、ちょっと待っててね」
ここは紗良ちゃんがバイトしているカフェだ。
レトロな雰囲気でとても落ち着いたおしゃれなカフェ。
ロイヤルミルクティーを淹れてくれた優しそうなこのお兄さんが、紗良ちゃんの恋人の総一郎さん。
今大学二年生なんだって。
ボロボロに泣いた私を紗良ちゃんが連れてきてくれた。
ロイヤルミルクティーは甘くてほっと落ち着く味がして、とてもおいしい。
「おいしいです」
「それは良かった。紗良ちゃんのはアイスにしたよ」
「さっすがそーちゃん! わかってる~」
総一郎さん、すごく素敵だな。
落ち着いていて優しくて気が利いて、大人の男性って感じだ。
総一郎さんといる時の紗良ちゃん、いつもよりずっとかわいいなぁ。
とてもお似合いのカップルって感じで、羨ましい。
「てかひどくない? つづりん、こんなにかわいいのに全然褒めないで怒るとかさぁ」
「もう今はぐちゃぐちゃだけど」
「大丈夫、後で直したげる」
泣いてボロボロになってメイクも落ちてしまった。
紗良ちゃんにはここに来る前に大体のことは話している。
結川くんに告白されたことも、それを見たあやくんが怒って……強引にキスされたことも。



