あやくんの瞳にキケンな光が宿ったと思ったら、強引に唇を奪われていた。
「んっ、ふぅ……っ」
無理矢理舌をねじ込まれ、いつものような甘さはない。
荒々しくて呼吸ごと奪われるようなキス。
「ぁっ、や……っ」
苦しくて顔を背けようとしても、ぐっと強くつかまれて逃げられない。
強引に貪り、犯される。
こんなの嫌。
乱暴なだけのキスなんて嫌だ。
今までも恋人のするキスではなかったけど、甘くて優しくて慈しむようなキスだった。
まるで私のこと好きって言ってくれているようで――幸せだった。
「っ!! あやく……っ」
いつの間にかあやくんの唇は私の首筋に這っていた。
ガリ、と噛まれたかと思えば強く吸われて。
思わずドン! とあやくんのことを押し出してしまう。
「~~っ、こんなのやだ……」
なんでこんなことするの?
あやくんの気持ちがわからない……っ。
こんな無理矢理なの、嫌だよ……!
「っ!」
「――つづ!!」
私は泣きながら空き教室を飛び出した。
走りながらスマホを取り出し、電話をかける。
《はーい、もっし~?》
「さ、さらちゃ……っ」
《つづりん? どったの?》
「~~っ、う……っ、ううっ」
《泣いてるの?》
「うう~~~……」
電話口で泣くばかりでまともに話せないでいる私に、紗良ちゃんは私が落ち着くのを待ってくれた。
その後駆け付けてくれた紗良ちゃんの腕の中で、私はわんわん泣いた。



