ハッとして振り返ると、そこにいたのはあやくんだった!
あやくんが現れると、生徒会の子はヒッと顔色を変える。
「く、玖央さん……! いつもお世話になっております!」
「誰?」
「玖央ホールディングスグループ傘下の細田の娘です……」
「へえ、そうなんだ」
この学園は家柄と財力がすべて。
学年なんて関係ない、家柄が上なら三年生でも一年生に敬語を使うんだ。
あやくん、本当に玖央ホールディングスの御曹司なんだな――。
「つづは、D組のままでいいの?」
「え、うん。友達と離れたくないし、そもそも知らないお金は受け取れないよ」
「その寄付金、俺からなんだけど」
「ええっ!?」
あやくんが!?
なんで? どういうことなの!?
「ねぇ、そこの人」
「はっはい!」
呼ばれた生徒会の子はピンと背筋を伸ばす。
「つづはD組のままでいいらしいから、そのままで」
「はい!」
「この額があれば卒業できるよね?」
「もっもちろんです!」
「じゃあ、もう行っていいよ」
「はい、失礼しますっ!」
彼女は直角にお辞儀をし、足早に立ち去ってしまった。
サラッと卒業できるって言ってた……?
退学は免れたってこと……?
「いやいや! ちょっと待ってよ!! 私あやくんに聞きたいことがいっぱいあるんだけど!」
「じゃあ授業サボる?」
「えっ!!」
「屋上でいっか」
「ちょっ」



