「ありがとう、結川くん。大丈夫だよ」
「本当に? 俺で良かったらいつでも話聞くからね」
「うん、ありがとう!」
結川くんはいい人だ。
いつも周りを見ていて気遣ってくれる。
流石は学級委員長だよね。
「いいんちょってさ〜、つづりんのこと好きなんじゃな〜い?」
紗良ちゃんがニヤニヤしながらささやく。
「いいんちょ、あんま女子と絡まないけどつづりんには話しかけるし〜」
「ああ、それは前から知り合いだからだよ。結川くんのお父さん、結川繊維工場の社長さんで昔はお得意さまだったんだよね」
うちが潰れたから取引はなくなっちゃったけど。
「高等部で同じクラスになって驚いたよ」
「ふーーん」
なんかよくわからないけど、紗良ちゃんは意味ありげな表情をしていた。
「千歳さん!」
おお、今日はなんだかよく呼ばれるな。
「千歳さん、いたら来てください!」
私を呼んだのは、退学宣告をしたB組の生徒会役員だった。
彼女の姿を見て、寄付金のことを思い出す。
やばい、すっかり忘れてた……。
でも寄付金どころじゃないしな……。
「……つづりん、」
「――ちょっと行ってくるね」
心配そうに見つめる紗良ちゃんにニコッと微笑みかける。
とにかく腹をくくるしかない。
私は意を決して彼女について行った。



