「あやくん! いたの?」
「むしろ俺に会いに来たと思ってたんだけど?」
「それは……」
確かにあやくんがいるかな? って期待してました。
「おいで」
両手を広げるあやくんに、おずおずと近づいていく。
途中でグイッと引っ張られ、あやくんの腕の中に閉じ込められた。
「つづ、卒業おめでとう」
「ありがとう」
私もぎゅうっと抱きしめ返した。
たまにこの屋上庭園でこっそり会ってたけど、ここで会うのは今日が最後なんだよなぁ。
学園ではほとんど会えないから、逢引きみたいでドキドキした。
みんなに隠れてイチャイチャするのはスリルがあった。
「ここでしたね。初めて」
ちょん、と唇に人差し指を当てられてぼぼぼっ! と顔が熱くなる。
「つづも同じこと考えてたんだ?」
「ち、違うよっ!」
「嘘ばっかり」



