「そういうわけで、リリーは城の大階段の前に倒れてたの。誰もいなかったわ」
「……」

リリーは何も言わない。

「リリー、もうあの城に行っちゃいけないわ」
「……」
「聞いてる? ねえ」
「もう一回、行くわ。行かなくちゃいけないの」
「なんで?」

「約束したの」

「危ないよ! リリー、あの城は」
「約束したの。……ごめん、トレニア」
「リリー!」
「ノア様に会いたいの!! 帰ってよ!」
「なによその言い方……! 心配してるのに!」