へなちょこリリーの惚れ薬

「あのねリリー」
「なに?」
「さっき、リリーのおばあさんがうちに来たんだ」


トレニアは、あたしには何も聞かず、話し始めた。



「トレニア、リリーのおばあさんがいらしたわよ」
「ローズばあさんが?」

あたしが階段を下りると、玄関にリリーのおばあさんが立っていた。
村一番の魔女・ローズ。
通称ローズばあさん。

「誰がババアだって?」
「いえ、言ってませんから! 私に何か御用ですか?」
「朝から、リリーがいないんだ。こちらに遊びにきてるんじゃないかと思ってね」

こんな雨の日に?

「今日はリリーは来ていません。図書館じゃないですか?」
「さっき行ってきたんだ。学校に一人で行ったとは思えないし」

一人で出歩くなんて珍しい。
いつもは家で本ばかり読んでるのに。

「森に行ったんじゃ」
「森へ?」
「こないだ木苺を取りに行ったから」

……城に行ったなんて、言えない。
リリーの性格からして、話してないだろうし。