へなちょこリリーの惚れ薬




「リリー!」
「……目が覚めたか」


ここは……? 
あたしの部屋。

トレニアとシャーロットが、あたしの顔をのぞきこんだ。


「やめてって……、どうしたの?」
「どんな夢を見てたんだ?」
「あのね、あの城で倒れてて……。どうしたの? 何があったの?」

トレニアとシャーロットが交互に話し掛けてくる。


「ノア様とは会えたの?」
「会えたけど……」

「リリー、あのね? 城は真っ暗で、床には埃がつもってたの。とても、人が住んでいるようには見えなかったんだけど……」
「ノア様と会ってたの」
「でもね」
「トレニア聞いて」

彼がいた空間は光が溢れていた。


「……」

あたしの首に掛かっているペンダント。

「……ただの石ころね」


確かに、さっきまで話してた。
さっきまで一緒だった。
嘘じゃない。


だって、抱き締めてくれたもの。

「リリー、その石は?」
「ノア様から貰ったの」
「……石ころにしか見えないんだけど」
「あたしが、変えるの」
「どういうこと?」



どこから説明したらいいんだろう。

短い夢の中で、あたしは知った。
……ノア様は、あたしのものにはならないってことに。