「リリーは、初恋の人がうっかりおばあちゃんの元カレで、辛かったんだよね」
「……うん」
「手のひらだって、血が出るぐらい苦しんだんだよね」
リリーの部屋のじゅうたんに血がついてたもの、とトレニアには言った。

それは、魔法の練習をしてたからなんだけどね。
嫉妬に苦しんでた……わけじゃ、ない。

「おばあちゃんに全部言ったって良かったんだよ本音を。でも傷つけたくなかったん

だよね……」
「……」
「リリー、優しいから……」

ぎゅっと、トレニアは私を抱き締めてくれた。

「醜いなんて思うわけないじゃん!」
「……トレニア。ありがとう……」

今だけ、少しだけ泣いてもいい?
こらえていた涙が一気に溢れて、私は大声で泣いた。
泣いている間中、トレニアは私を抱き締めていてくれた。








トレニアがいてくれて、良かった。