へなちょこリリーの惚れ薬

「……ねえ、ノア様。本音を聞かせて」
「なんのことだい」

納得できない。

「……そうよ。ノア様は後悔してないって言ったわ」

違う。
違うわ。

「国を守るのがノア様の仕事だったかもしれない。でも、黒百合に聞けば……、貴方が彼女に聞くべきだったのは、『攻め込まれない方法』じゃなくて、『勝つ方法』だったんじゃなの!?」
「リリー?」

初めて、黒百合に会った時、彼女は言ってた。
別の方法はあった、って。

「『1回でだめなら、100回やってごらん』って言ったわ。100回戦ったら、隣の国に勝てたかも知れないじゃない」
「途中で負けたら? もっと大勢の犠牲者が出た」
「ノア様は『負けるかもしれない』って想像して怖くなったのよ。だから、ノア様の現実はそうなった。貴方が選んだ未来だったのよ」

私は一気に喋った。
そしておばあちゃんに
「ノア様の気持ちはどうなるのよ」
なんて言った自分を恥じた。


問題は、ノア様が「できない自分」を受け入れたこと。


「負けるかもしれない、おばあちゃんを失うかも知れない……。ノア様がそう思ったら。そう思い込んで、黒百合に聞いたからまずかったのよ。勝てる方法を教えて、と聞けば、きっと彼女は答えてくれたわ。でもそうしなかった」

本当にノア様が望んでいた未来は。


「生きておばあちゃんと暮らすことだったはずよ」