ノア様はこの世の者ではない。
「一緒にいて」といわれたら、私は嬉しいんだろう。
もし、そう言われたら……私はついて行くかもしれない。

「イヤなら、もし、誘われても断るのよ」
「うん」
「3回断るのよ」
「うん?」
「1回でも頷いたら、もうこっちに戻ってこれないわよ」

3回も誘われたら、決心がぐらつくかもしれない。
その時は……その時。




身支度をしていると、黒百合が言った。
「トレニアには言ったの?」
「ううん。話したら決心がぐらつくから。会わなかった」
「どうして他人の意見を気にするの?」

私は少し考えた。
黒百合の自由さが、……私はたぶん羨ましいんだろう。

「トレニアを悲しませたくないから、かな」
「だって、あくまで他人じゃない」
「友達よ」
「どうしてアンタたちも一人で生きていけないのかねえ」

私にはわかんないわ、と黒百合はいい、手をヒラヒラと振った。