わかってる。

「……私は、いつもトレニアがうらやましかったよ」
「……」
「可愛くて魔法の天才で年上の彼氏がいて。でも、トレニアはいつでも私の味方してくれた」

自信過剰で。
でもすごく優しくて。

「ノア様は、私に魔法を教えてくれた。トレニアはなんだかんだ言って、協力してくれた。おかげで私は魔法を使えるようになったの」

ひとりじゃ、きっと諦めてた。
惚れ薬を作ることもなかった。


「とても感謝してるの。だから……ノア様のことは自分で答えを出すわ。トレニアには、その後で会う。そう伝えて」

いま会えなくて、ちょうどよかったかもしれない。
きっとトレニアは引き止めるだろうから。

「……リリー」
「必ず戻る。約束するわ」