「あんな性格悪いローズの替わりに、自分の命を差し出そうってんだから、たいした男だったと思うわよ?」
「あんたに言われたくないわよ! ねえリリー?」
「え、うん」

うるさい、とトレニアは睨まれた。

「それでも、ノアがローズを守ったことは事実。この国を守りきったことは事実。だから、リリー、アンタは生まれてくることができた」



ノア様がおばあちゃんを守ったから……。
国も家臣も精霊も敵に回して。



「ローズは『ノアを殺した』って国中から責められてねえ……。ま、私に怒りをぶつけてたけど。悲しかったんでしょうねえ、怒って私を石にしちゃったのよ」

そして今に至る。