「なんで……? どうして?」
「力の使い方、わかったでしょ?」
「全然……」
「困った子ねえ」

黒百合の女神は、私が変えた短剣を、石に戻した。

「魔力は誰にでもある。でも感情を込めないと、魔法は使えないのよ」
「……私、殺そうとした」
「助けようとしたんでしょ。それでいいのよ」



……さっきと違って優しい……。




トレニアは、きょとん、としている。
たぶん、私も。

「……」
「怒りも愛も、根っこは同じ。善に使えば役に立つし、悪に使えば誰かを傷つける。使い方はあなた次第」





黒百合は、石を返してくれた。






「やってごらん。ノアのことでも考えて。今度は出来るわ」