玉響の一花    三

冷蔵庫から冷えたビールを3本取り出し
芝生の上に寝転ぶ3人の元に向かい
差し出した。


「お疲れ様です。どうぞ」


『霞ちゃん神ーーー!!』

『井崎さんありがとう』


「筒井さんもどうぞ。」


少し離れた場所にいた筒井さんが、
サングラスを頭の上に上げて大の字に
寝転んでいた姿が可愛くて、
その場に座りビールを差し出した


『サンキュ‥‥楽しかったか?』


プルトップを開けて3人とも
あっという間に一気にそれを飲み干し、
美味しいのかいい笑顔を見せてくれる


「最高に楽しかったので
 明日もすごく楽しみです。」


『フッ‥‥それは良かった。
 はぁ‥‥久しぶりだから流石の俺も
 今日はキツかった。』


『はぁ?よく言うわ。1番最初に坂を
 登り切ったくせに。この体力オバケ!
 飲んで食って運動して1番真面目な
 生き方してるくせに。』


『ハハッ‥滉一と拓巳は本当に
 よく食べるから今のうちに鍛えて
 おかないと中年まっしぐらだぞ。』


『中年って‥まだ30代突入した
 ばっかじゃん?
 大丈夫!俺まだ世の女の子達に
 チヤホヤして貰えるから。』


蓮見さん‥‥チヤホヤって‥‥。
本当にいい人がいたらいいのにな‥。
こんなに明るくていい人なんだから。



「ゆっくり着替えてきてくださいね。
 後で纏めて洗濯しますから洗濯機に
 入れておいてください。
 お昼ご飯ももうすぐ出来ますので。」



空き缶を回収してから中に戻り、
火番をしてくれてる古平さんの
様子を見ながら中で残りのご飯を
パパッと作り始めた


大食い並みの量が必要だから、
一食の量が毎回半端ないけど、こうして
何人分も作るのも楽しいのだ


「古平さん、これも一緒に乗せても
 いいですか?」


『ん、何?じゃんじゃん乗せて。』


「新じゃがをレンジで少しだけ
 チンして、ホイルで包んで
 じゃがバターにしようかなと。
 こっちのスキレットは
 魚介と葉野菜でオイル焼きに
 してみました。あとは、昨日の
 挽肉が余ってたのでロールキャベツ
 を追加で。」


豚汁の鍋の横に、フライパンやら
料理を置くと、少しした頃にいい香りが
すぐに漂ってきた


『井崎さんの作るご飯ってほんとに
 美味しいよね。いつも食べてる
 筒井さんが羨ましいな。』


「そ、そうですか?
 そう言っていただけると嬉しいです。
 取り柄がない分一つでも得意なもので
 皆さんの役に立てて良かったです。」


『そう?料理できるってスゴイよ?
 私も好きな人の為に頑張らないとな。
 あっ、今度教えてくれる?』


えっ!?


古平さんからまさかの恋話らしき
話題が出てくるなんて思わなくて、
思わず身を乗り出して何度も頷いた