玉響の一花    三


ここでの暮らしも慣れたかといえば
慣れて来たけど、ふと目が覚めると、
ここに引っ越したんだったっていう
感覚にたまに陥る‥‥


『寒くないか?』


「はい、平気です。」


今日は映画は見ないのかな‥‥。

偶にはゆっくり過ごされたいのかなと
思い、テーブルの上に置いていた資料を
手に取りもう一度ゆっくり見ることにした。



11月23日から1週間‥‥

フランスのパーティーは2日目と3日目
だから、初日はゆっくり出来そうだ。


「あの‥‥パーティーって初めてで、
 スーツだとおかしいですか?」


記載には正装と記されているけど、
社会人だとスーツが1番無難に頭に
浮かぶけれど、フランスではスーツで
いいのか疑問に思えた。


『スーツは間違いではないかも
 しれないが、海外のパーティーは
 華やかだから、女性は特にだが
 ドレスアップした方がいい。』


「やっぱりそうですよね‥‥。
 つ‥滉一さんはスーツですか?」


『俺は黒のタキシードを着る予定だが
 どうしてだ?』


タ、タキシード!!?


筒井さんなら絶対似合う‥‥


顔を真っ赤にして妄想に明け暮れて
いると、隣で笑う声に我にかえり
両手で顔を覆った


『お前は前に俺がプレゼントした
 黒のワンピースと靴があるだろう?』


あっ‥‥そうだ!!
筒井さんがプレゼントしてくれた
あの素敵なワンピースがあった!!


ヘアアクセサリーもあの時の
シルバーので良さそうだし、
イヤリングや指輪もプレゼントして
頂いたもので全て大丈夫そうだ‥‥


「はい、そうします。」


仕事で行くから、2人きりではそんなに
行動できないことは分かってるから、
パーティーの間は素敵な筒井さんを
沢山見たいな‥‥


林さん達が偶々お2人ともスイスを希望
されていたけれど、どちらかがフランス
を希望されていたら筒井さんとは
過ごせなかったと思うと、これもまた
奇跡だと思える。


本当は選考基準や、どうして私が
選ばれたかなど聞きたいことは
あるけれど、筒井さんは私情を挟まれる
方ではないから、選ばれたのなら
今は素直に受け止めるだけだ


『仕事とは言え楽しみだな‥‥。
 元輝とオリヴィアにも一緒に会いに
 行こう‥‥‥‥どうした?
 お前‥‥泣いてるのか?』


今になって、本当に行けるということ
を実感したことと、自分から挑戦
したいと思ったことを回りの人達が
応援してくれたことなどが募り、
無意識のうちに涙が頬に流れていく