玉響の一花    三

「寝ちゃいましたね‥‥。」


ソファで気持ちよさそうに眠る
古平さんの頭を自分の膝に乗せて
髪を撫でていた蓮見さんに
そっと声を掛けた。


なんでもっと早く気づかなかったん
だろう‥‥。
こんなにもお似合いだったのに。


『拓巳。コダのことどうするんだ?』


『ん?うちに連れて帰るよ。
 流石に君たちの事邪魔したら
 後味悪いし?
 霞ちゃん、悪いけどうちまでコダの
 鞄と靴持って来てくれる?』


「えっ?あ、はい!」


筒井さん同様鍛えている蓮見さんは、
軽々と古平さんをお姫様抱っこすると、
愛しそうに彼女を見つめていた。


鞄と靴を持つと、筒井さんに
行って来ますと伝えてから
一緒にエレベーターに乗った。


「蓮見さん‥良かったですね。」


『ん?まぁ片思いしてましたからね。
 霞ちゃんなら気持ちわかるでしょ?』


「はい、勿論です。」


今日は私の方がニヤニヤしてしまいそうなお2人の光景に、幸せで胸がいっぱい
になってしまう


蓮見さんからカードキーを受け取り
鍵を開けてあげると、玄関先に
靴を置いてから鞄を預けた。


「おやすみなさい。料理出来るなら
 古平さんとこれからは沢山作って
 くださいね。」


『えー?俺は食べに行くよ?
 まぁ‥‥今度は2人でね。』


「ふふ‥‥はい、待ってます。」


静かに玄関の扉を閉め、幸せな気持ちの
まま筒井さんのお家に行くと、何故だか
急に抱きつきたくなった私を黙って
抱き締めてくれた。


『どうした?急に‥‥』


「いえ‥‥筒井さん達はお2人のこと
 分かってらっしゃったんですね。」


『フッ‥‥あんな分かりやすい
 3歳児、なかなかいないからな。』


クスクスと笑う筒井さんにつられて、
私も一緒になって笑ってしまった。


「私、古平さんの好きな人は亮さんだと
 思ってましたから、ハズレました。」


料理ができるなんて言ってたから、
蓮見さんはあの時点でないなって
思ってたのだ


でも‥ほんとに2人の醸し出す空気感が大好きで、お似合いって思ってたから
嬉しいな‥‥‥



それから元輝さんたちがフランスに
帰国され、暫く忙しい日々を過ごし
ながらも引越しをする前に、
筒井さんがうちに挨拶をしに来る日が
とうとう来てしまったのだ



『おはよう。』

「おはようございます。」



うわぁ‥‥
仕事というか、会社以外で見る
スーツ姿の筒井さんに、
それだけで赤面してしまいそうだ‥


夏だから、ジャケットは
羽織ってないものの、ヘアスタイルも
バッチリ決まっていて素敵すぎる