玉響の一花    三

『何考えてるのか今だに分からない
 から謎なのよね‥‥ほんとに‥。』


えっ?


グラスに入っていた白ワインの残りを
一気に飲み干した古平さんが、
何故か少しだけ悲しそうな顔をした


蓮見さんはどちらかといえば、
何を考えてるのかとってもすごく
分かりやすい人だと思っている。


思った事を口に出すし、
感情も表に出してると思うから、
筒井さんの方が攻略は遥かに難しい


でも‥‥‥なんか分かってしまった。


私は鈍い方だけど、こんな気持ちを
ずっと1人の人に向けて来たから。


「あ、あの‥‥古平さんの好きな人って
 料理ができるんですよね?」


酔っ払った勢いとかじゃないけど
いつも支えてくれている先輩の
話を聞きたかったのかもしれない。


背後では楽しそうに5人が会話して
いるのをいい事に、前のめりになって
古平さんに詰め寄った


『そうね‥‥しないだけで、彼は
 何でもできるわよ?そういうふうに
 育てられて来た人だから。』


えっ?
しないだけで‥‥料理は出来るの?


『井崎さんみたいに料理が上手かったら
 私も何か作ってあげたいくらい。』


「‥‥作りましょう?今から!!」


『えっ!?今から?』


「まだ時間も21時です。そんなに早く
 いつもお開きにならないので、
 お摘み一緒に作りませんか?」


鬱陶しいって思われてしまうかも
しれないけど、今日蓮見さんがここに
古平さんを呼んだのも、
きっと意味があると思ったから‥‥


『ふふ‥‥そうね。じゃあ
 作っちゃおうか?』


「はい!!」


2人で顔を見合わせて笑うと、
飲んでいたワインに合うお摘みを
冷蔵庫の中にあるもので作れないか
一旦考えた。


「古平さん、生ハムとアボガドを
 ハチミツとマスタードで和えたもので
 一品と、リンゴとカマンベールチーズ
 のカナっぺなら簡単なので
 やってみませんか?」


これなら余った材料で簡単に
作れそうだ。


アボガドのくり抜き方、切り方を教えて
生ハムを調味料と混ぜてもらい、
カナッペの上に、イチョウ切りした
薄い林檎を重ね、チーズとナッツを乗せ
最後にブラックペッパーと蜂蜜を少し
かけてもらった。


『‥‥簡単なのにオシャレね。
 初めてこんなの作ったかも。』


「さ、みんなのところへ
 持って行ってあげてください。
 きっと喜ばれると思いますから。」


仕事では凛としていて素敵なのに、
今日は何故か自信なさげな古平さんに
エールを送ると何故か笑われてしまった