玉響の一花    三

筒井さんから金沢出身と聞いていたから
喜んでもらえるか分からなかったけど、
小さい頃から好きな食べ物だったなら
作って良かったと思えた。


赤巻きやお麩をオリヴィアさんに
説明しながら食べさせてあげる
姿にもほっこりしてしまう


『霞ちゃん、料理人になったら?
 なんならお金払うから俺ここに
 毎日食べに来てもいい?』


料理人って‥‥そんな大袈裟な‥‥


『絶対来るな。鍵開けないからな』


『えーー?だって君たち一緒に
 住むんでしょ?人事的に住所が
 一緒でバレるのも時間の問題だと
 思うけどぉ?』


ドキッ

思わず飲んでいたお酒を吹き出しそうに
なり、筒井さんが背中をさすってくれた


『滉一、決めたんだな?』


『ああ、付き合う時点で覚悟は
 してたからな。』


『そっか‥‥井崎さん良かったね、
 おめでとう。』


亮さん‥‥


真っ赤な顔をして俯く私とは正反対に
顔色一つ変えない筒井さんは
亮さん達ともう一度グラスをカチンと
合わせてお酒を飲んでいたけど、
やっぱりみんなにバレるのは
とても恥ずかしかった。


みんな料理を殆ど食べ終え、
余っていたお摘みとナッツやチーズ、
生ハムなどでワインを飲み始めたので、
古平さんと一緒に洗い物を少しずつ
し始めた。



『井崎さん良かったね?改めて
 おめでとう。』


「あ、ありがとうございます‥‥
 蓮見さんに先にバレてしまって
 カミングアウトされるとは
 思ってませんでしたけど‥」


手際よく予洗いした食器を食洗機に
入れると、古平さんとカウンターで
椅子に座ってお酒を飲むことにした。



「今日、蓮見さんに呼ばれたんですか?
 来てくださって嬉しかったです。」


いつも纏めている髪の毛が降りていて、
緩く巻かれたヘアスタイルが、
色っぽくて改めて綺麗な人だなって
思えてしまう。


別荘に行く時は、カジュアルで
スポーティーな格好だから、タイト
スカートにノースリーブのカットソー
がすごく新鮮で似合っている


『お昼くらいに電話が来て、
 暇だったらおいでって言われたから、
 予定なかったし来ただけよ。』


「蓮見さんと古平さんは本当に
 仲がいいですもんね。」


2人の面白いやり取りも大好きだけど、
総務課での連携プレーもとても
信頼し合っていて尊敬している


普段はなかなか上に行けないけど、
たまにお手伝いする時でも総務課の
温かい雰囲気が一番好きなのだ。