玉響の一花    三

その週は、手紙を届けたりしながら
海外事業部の様子も見たり、実際に
外国語で電話応対したりする人の姿も
邪魔にならない程度に見ていた。


『1週間お疲れ様‥。
 一旦お前の家に荷物を取りに行った
 後、外で食事をしよう。
 スーパーは帰る前でも行けるから。』


「はい‥よろしくお願いします。」


筒井さんのスーツ姿が素敵過ぎて、
ジャケットを脱いだワイシャツから
覗く腕の綺麗な筋肉にさえ見惚れて
しまう


何を作ろうか色々この1週間
考えたけど、簡単に摘めるご飯の方が
食べやすそうに思い、みんなが好きな
ものと日本らしいものを作ろうと決めた



「あの‥‥蓮見さんたちって朝から
 食べに来たりしますか?」


予告なしでいつも現れるから、
来るならそれ用にも朝ごはんを多めに
用意しておきたい


『はぁ‥‥きっとお前が考えてる通り
 だろうな‥‥。アイツは恐ろしく
 鼻が効くから。』


鼻って‥‥筒井さんってば
動物じゃないんだから‥‥


2人で笑いながらも楽しく買い物を
していると、一緒に住んだらこういう
機会もきっと増えるんだろうなとか、
優しいから当たり前に荷物も持って
くれるんだろうなとか考えてしまう


『どうかしたか?』


「い、いえ‥‥こういう時間が
 なんか‥‥いいなって‥‥。」


カートを押してくれる筒井さんを
見上げると、ただそれだけで幸せと
いう二文字が出てくるほどだ


待たせてしまっている罪悪感が
ないわけじゃないからこそ、時間の
使い方も考え方もいつもと一緒じゃ
ダメってことだけ頭に置いていきたい。



『フッ‥‥‥そうだな。』


籠いっぱいの食材プラス、お馴染みの
アルコール類を2人で運び終えると、
筒井さんがシャワーに行っている間に、
明日のご飯の下ごしらえをパパッと
済ませ私もシャワーに行った。


週に1度ハウスキーパーを取り入れてる
だけあって、ここはいつも綺麗で
汚れを全く感じない。


食料品も頼めば買って来てくれる
みたいだし、贅沢かもしれないけど、
仕事が忙しい男性にはとても助かる
サービスな気がする。


筒井さんと蓮見さんは本当に家事が
苦手なのもあるけど、2人とも金曜日
以外は21時近くまで会社にいることが
殆どだ。


疲れて22時過ぎに帰って来てから
家事なんかやる気がおきないと思う


だからこそ、栄養あるものを
作れる時は作りたいって思える。
私の得意な事はこれしかないから‥