玉響の一花 三

私のつまらない勘違いで、筒井さんにも
嫌な態度を取ってしまったことに、
一気に酔いが冷めていく‥‥


オリヴィアさんとお似合いだなんて‥
元輝さんの奥様なのに恥ずかしすぎる


『オリヴィアは井崎さんと歳も近いから
　日本にいる間、もし良かったら、
　一緒に東京観光してくれない？』


「勿論です‥‥でも私のフランス語で
　ちゃんと通じてますか？」


大学4年間で学んだものに、
独学でフランスの洋書などを
翻訳したりしながら学んだ語学力で
伝わってるのか少しだけ不安になる



『Visiter le Japon avec elle
Êtes-vous inquiet à l'idée d'y aller ?』
（霞と一緒に観光に行くのは不安か？）


『Ne t'inquiète pas. Il semble que faire du shopping avec des femmes soit plus amusant.』
（心配いらないわ。女同士の方が
　お買い物も楽しそうだから。）


『だそうだ‥‥井崎さん頼めるかい？』


「はい‥‥嬉しいです。」


オリヴィアさんともう一度ハグをすると
彼女が可愛く笑ってくれた。



「筒井さん‥‥ごめんなさい。
　やっぱり弱めのお酒に変えます。」


『‥急にどうした？』


私の勝手な自己嫌悪を、みんなが
いる場所で出してしまったことも
ちゃんと後で謝りたいけど、やっぱり
素直な自分でいたかった


「つ、筒井さんと2人の時に飲みます。
　だから‥今日は大丈夫です。」


『フッ‥‥‥そうか‥分かった。』


大好きな手が優しく私の頭を撫でると、
テーブルの下で私の手に指を軽く
絡めてくれたので、わたしも隣を
見上げて見つめ返した。


『おい、君たち周りの事忘れてない？』


えっ？

丸テーブルに座る4人から一斉に視線を浴びていることに気付くと、
顔が噴火しそうなほどに熱くなった


謝ることしか考えてなかっただけに、
1番揶揄うのを得意とする蓮見さんに
言われてしまい俯く


『はっ‥？‥今更だろ‥‥いちいち
　コイツに構うな。羨ましかったら
　お前も誰か相手を作ることだな？』


『わぁ‥出たよ‥滉一君の独占欲。
　会社内のファンが見たら泣くよ？
　俺はいいの！！みんなの物だから！』


『言ってろ‥‥』


ああ‥‥いつもの2人のやり取りが
始まってしまったと亮さんと目を合わせて苦笑いしていると、オリヴィアさんと
元輝さんが大笑いし始めた。