『急に連絡くれるなんて驚いたよ。
どうかした?』
いつものイタリアンのお店で、
先に来ていた亮さんと乾杯をし、
心配そうに見つめてきた視線に
小さくため息を吐いた
週末、迎えにきてくれた筒井さんは
朝までただただ優しく抱いてくださり
一緒に眠ってくれた‥‥
「忙しいのにすみません。
‥‥自己嫌悪に陥ってしまって、
筒井さんに甘えている自分でいいのか
分からなくなってしまったんです。」
『まさかアイツに何かされた?』
「いえ‥そんなことはないんですけど、
逆になさ過ぎで不安なんです。」
片思いから含めると6年近く
ただ1人の人をずっと想い続けてきた
それなのに、何もしてあげれない
自分がただ愛しいという気持ちのみで
本当に筒井さんと先に進んでいいのか
分からなくなったのだ
私のことを大切にしてくれるし、
いつも先を見据えて考えてる姿に
甘えて、お姫様気分でいる気がする
成長した姿を見せたいとか、
隣に立ってても恥ずかしくない自分で
いたいとか、背伸びをすることばかり
考えてしまって、筒井さんのことを
ちゃんと考えれていない気がして
落ち込むのだ
『ちゃんとそういう大切なことを
本音でアイツに話せてる?』
「‥いえ‥‥話せてないです。」
『アイツはさ、同じ会社の後輩に
手を出した時点で、それなりの覚悟
を持って井崎さんといると思うよ?
しっかりしてそうに見えて、
案外脆いところもあるしさ‥。
急がなくてもいいんじゃない?
ゆっくり考えててもアイツは
そんなことで相手を責めるような
器じゃないから、ね?』
「はい‥‥ありがとうございます」
優しい手が頭をくしゃっと
撫でてくれ、モヤモヤしていた気持ちが
少しだけ軽くなった気がする
亮さんと別れてから、駅に向かって
歩いていると、目の前を歩いていた
後ろ姿に思わず駆け寄り横に並んだ
「あ、やっぱり優君だった。
お疲れ様、今仕事帰り?」
『ビックリした‥‥‥霞こそ
こんな時間まで仕事だったの?』
ここに勤めて3年も経つのに、
優君とすれ違ったこともないのに、
この間OB会をしたばかりこんなにも
早く会えるとは思わなかった



