玉響の一花    三

横から伸びてきた手に引き寄せられると
筒井さんに優しく抱きしめられ、
その安心する香りに恥ずかしながらも
私も素直に甘えたくなった


「飲むなら筒井さんがいる時って
 決めてるんです‥‥それに、
 せっかく迎えにきてくださるのに、
 酔って会いたくなかったので‥‥」



せっかくの休日なのに、私の送り迎えの
為に時間を使わせてしまってるだけでも
申し訳ないっていうのもあるけど、
やっぱりシラフで会いたかったのだ


『フッ‥‥‥素直だな‥‥』


「そ、そうですか?」


ドクン


筒井さんの綺麗な長い指に顎を
捉えられると、見上げた私に落とされた
優しい啄むキスにゆっくり答え、
少しずつ深くなる頃にはその首に
しがみついてしまっていた



「んっ‥‥」


2人の甘い吐息がハアっと漏れ唇が
離れると、瞳を開けた先にあった
綺麗な顔が意地悪く笑っていた


『‥‥このまま帰りたい?』


‥‥‥そんな聞き方ズルいよ。


脳内をらとろけさせるようなキスを
しておきながら、少し意地悪なことを
いう筒井さんの胸にもたれ、息を
整えながら小さく首を振った


「もう少し‥‥一緒にいたいです。」


『少しでいいのか?
 俺はお前と朝までいたいんだが?』


「でも‥せっかくのお休みなのに‥」


『お前に心配されるほど疲れてないから
 心配するな‥‥』


トクン
 


一緒に住んだら休日も当たり前だけど
同じ家で寝て起きて過ごすことに
なるんだった‥‥


会社では殆ど会えないから、時々
こうしたオフの時間に会えてることが
嬉しかったけど、これからは
過ごせる時間も増えて行くんだね



そう考えると、一緒に住むことに
ハードルが急に高く感じてしまった



筒井さんは私のことを大切にして
くれてるけど、一緒に過ごす時間が
増えれば増えるほど、もしいつの日か
別れという選択肢が来た時に、
私は立ち直れるのかなって‥‥


一度、筒井さんから別れを
告げられた時も相当ツラかったから、
これ以上の幸せを望むのが少し怖い‥



『どうした?』


大切にされればされるほど
幸せではなく不安になってるなんて
そんなこととても言えない‥‥


自信を持って胸を張るって決めたのに、
相手が素敵過ぎて、料理が好きなこと
しか取り柄がない自分と住んで、
筒井さんにメリットはあるのかな‥‥


腕の中に納めていた腕を筒井さんの
背中に回して抱きつくと、少しだけ
驚かれたけど、何も言わずに
私の背中をさすってくれた。