玉響の一花    三

「今日はどこに行くんですか?」


3日目の朝は昨日ハードに運動したので
ゆっくり起きてから遅めのブランチを
別荘の近くのカフェで済ませた。


またワークショップに行くことだけ
伝えられ、何をするかはやっぱり
秘密みたいだ。


私には二度目のワークショップだし、
どんなものでも楽しみだな‥‥


筒井さんの車内に置かれた
私が作った不恰好なキーケースも
皮がいい色合いに変化して味が
出てきている


『疲れてないか?』


「はい、すごく楽しいです。」


サングラスをかけて運転する
筒井さんに笑顔を向けると、
優しい大きな手で頭を撫でてくれた


明日で帰るなんて寂しいけど、
まだ休日は続くから、ゆっくり休んで
またお仕事を頑張れるように
沢山楽しい思い出を作りたい


街中を抜けて蓮見さんの車について
ゆっくりドライブしていくと、
真っ白な四角い建物の前に到着して、
駐車場に車が止まった


『着いたぞ。』


いつものように、ドアを開けて
車からおろしてもらうと、
建物の入り口に飾ってある
オシャレな看板を古平さんと見に行った


‥‥‥TM CRAFT ?


『さて、今日は長時間コースだから
 夕方まで頑張るよー』


「えっ?そんなにかかるんですか?」


いまだにお店の名前だけじゃ、
何のお店かわからずいると、
蓮見さんが横から肩を組んできた


『おい拓巳‥。』


『なんだい?滉一君。いいじゃん!
 君ら2人でドライブしてきたんだから
 偶には霞ちゃんともスキンシップを
 とりたいじゃん?』


『はぁ‥ほんと煩いな‥‥
 ほら行くぞ。』


グイッと引っ張られると、
筒井さんに引き寄せられ、工房の
扉を開けてくれた。


『ほんっと肝が小さいんだよ、君は。』


『はん?お子様の相手なんか
 いちいちしてられるか。』


2人のやりとりも面白くてずっと見て
いたかったけど、開かれた扉の
向こうの空間がとても素敵で、
ぐるりと工房内を見渡した


『いらっしゃいませ。』


『こんにちは。予約した蓮見です。
 今日はよろしくお願いします』


白髪まじりのオシャレな男性が
出迎えてくれ、他にもスタッフの方が
2人ほど私達にお辞儀をしてくれたので
みんなで挨拶をした


『遠いところ足をお運びくださり
 ありがとうございます。
 オーナーの白木です。今日は
 自分だけの腕時計をみなさんで
 作っていけたらと思います。
 よろしくお願いします。』