ある公園まで来たとき、私の腕を掴む、強い力を感じた。
「陽奈、何も着ないで外でると風邪引くぞ。」
そう言って、私の体になにか暖かいものがかけられた。
「陽奈?麻由は彼女じゃないよ。」
…え?
「麻由はただの友達。」
「え?」
「それより何?用があったんなら気になるし。」
「これ、あげる。」
私はぶっきらぼうに袋を差し出した。
「チョコ?」
「うん。義理だけど。」
また余計なこと言っちゃった。
「食っていい?」
「どうぞ。」
「ん。うめーよ。プロ並みだ!」
そう言って、頭を撫でてくれた。
「ホント?ありがとう!」
「陽奈も食えよ。」
「うん。ありがと。」
私はチョコを受け取った。
すると、翼に体ごと抱きしめられた。
「ホント、ありがとな。」
「…う、ん……。」
私はなぜだか、涙が出てきて、通った人が振り向くような声で泣いていた。
「なに泣いてんだよ。早く食えよ。」
「…うん……。グズッ……。」
一口、チョコを食べた。
その瞬間、昨日は甘いと感じたチョコが、今日は涙のせいか、少しほろ苦い味がしたんだ。


