「おかえり陽奈ちゃん!」
ホームのみんなは私の帰りを待っていたかのように笑顔だった。
「クリスマス会しよっか!」
「わぁい!」
「ひーなちゃんっ!」
「杏ちゃん!今日は呼んでくれてありがとね。」
「いいの、いいの!あ、向こうの生活は慣れた?」
「うん!もうみんな優しくて!」
「好きな人できた?」
ちょっとイタズラな顔で私に聞いてきた。
「えっ。イヤ、いないよ?」
バレバレだと分かってても反射的に嘘をついてしまう。
「隠さなくていいよ。誰?」
杏ちゃんにはお見通し。
「…お兄ちゃん。」
「…え、お兄ちゃん?
お兄ちゃんと言えば…。波くんか翼くんだよね…。」
「うん。翼の方。」
「翼かぁ。アイツは見た目、無愛想だけどホントは良いヤツだからね…。」
「…知ってるの?」
「うん。アイツもこの施設にいたから。…覚えてない?」
「…うん。」
「まぁ、無理もないか。陽奈ちゃん3歳だったし。」
翼と同じ場所で育ってただなんて…。


