「ただいまあ。」
施設へ帰るときも必ずただいまは言う事にしてる。
「あ、陽奈ちゃん。おかえり。早速なんだけど、もういらっしゃってるから来て!」
杏ちゃんは優しい笑顔でそう言った。
私は重い足をゆっくり動かし、リビングへ向かった。
「あら、こんにちは。島崎(シマサキ)です。」
「こんにちは。」
キレイな人。
まだ、30代かな?
旦那さんもカッコイい。
「話、進めてもいい?」
「はぃ。」
「私たちの子供になってくれない?私たち、同情だけで陽奈ちゃんを引き取ろうとしてるんじゃないの。だって、今まで断ってきたんでしょ?その気持ち、分かるから…。」
その人は何故か悲しげな目をしていた。
なんだか、安心できた。
この人たちなら私のコト守ってくれる。
そう思ったんだ。


