名前のない香水

採血の結果が出るまでは、
落ち着かない日々が続いた。

夏休みの課題は、夢と一緒に取り組むことで、
少しだけ気持ちが軽くなる。

机を並べてノートを見せ合ったり、
分からないところを教え合ったりする時間は、
病院のことを考えずに済む、貴重なひとときだった。

それでも、頭の片隅にはいつも
花火大会のことがあった。

桐谷くんと行く――そのことだけで、心臓が少し早くなる。

浴衣はどうしよう、髪はどうまとめよう、どんな色が似合うだろう。些細なことを考えるだけで、胸の奥がじんわり温かくなる。

毎日、体調を確かめながら、
無理はしないように気をつける。

暑さで疲れたら途中で休むことも、
途中で帰ることも、許される。
そんな小さなルールを自分に課して、
心の準備をしていた。

結果を受け取るまでは不安もあったけれど、
夢と課題を進める時間、桐谷くんのことを想う時間――どれもが、夏の光に照らされる、ほんのひとときの幸せだった。