しばらく、
言葉のない時間が流れた。
倉庫の外の音が、
遠くでかすかに聞こえる。
桐谷が、隣に座ったまま、
ぽつりと口を開いた。
「……無理、してないか」
さっきよりも低くて、
静かな声。
一花は、少しだけ考えてから答える。
「……無理、してたら」
「たぶん、ここまで来れてない」
自分でも、
少し驚くくらい正直な言葉だった。
桐谷は、
それを否定もしないで、
ただ、ゆっくり息を吐いた。
「……そっか」
それだけ。
でも、その一言が、
なぜか胸に残る。
上着の中は、あたたかくて、
隣にいる人の気配が、近い。
(今年は、違う)
その理由を、
ちゃんと言葉にできないまま、
一花は、目を伏せた。
——ガチャ。
突然、
倉庫の扉が開く音。
「……あ、いた!」
外から声がする。
「閉めたと思ってた、ごめん!」
一気に光が差し込んで、
空気が動いた。
「……行こう」
桐谷が、立ち上がる。
一花も、慌てて立ち上がった。
上着を返そうとすると、
桐谷が小さく首を振る。
「……まだ、着てていい」
その言葉に、
胸が、少しだけ跳ねた。
上着の重さが、
まだ肩に残っている。
さっきまで二人きりだったことを、
身体が先に思い出してしまう。
「夏休み、この辺で花火大会がある」
視線を合わせないまま、桐谷は言った。
「……体調、大丈夫そうなら。一緒に行かないか」
一花は、ゆっくり息を吸って
「……考えてみる」と答えた。
その声が、
一花の中で、静かに残っていた。
言葉のない時間が流れた。
倉庫の外の音が、
遠くでかすかに聞こえる。
桐谷が、隣に座ったまま、
ぽつりと口を開いた。
「……無理、してないか」
さっきよりも低くて、
静かな声。
一花は、少しだけ考えてから答える。
「……無理、してたら」
「たぶん、ここまで来れてない」
自分でも、
少し驚くくらい正直な言葉だった。
桐谷は、
それを否定もしないで、
ただ、ゆっくり息を吐いた。
「……そっか」
それだけ。
でも、その一言が、
なぜか胸に残る。
上着の中は、あたたかくて、
隣にいる人の気配が、近い。
(今年は、違う)
その理由を、
ちゃんと言葉にできないまま、
一花は、目を伏せた。
——ガチャ。
突然、
倉庫の扉が開く音。
「……あ、いた!」
外から声がする。
「閉めたと思ってた、ごめん!」
一気に光が差し込んで、
空気が動いた。
「……行こう」
桐谷が、立ち上がる。
一花も、慌てて立ち上がった。
上着を返そうとすると、
桐谷が小さく首を振る。
「……まだ、着てていい」
その言葉に、
胸が、少しだけ跳ねた。
上着の重さが、
まだ肩に残っている。
さっきまで二人きりだったことを、
身体が先に思い出してしまう。
「夏休み、この辺で花火大会がある」
視線を合わせないまま、桐谷は言った。
「……体調、大丈夫そうなら。一緒に行かないか」
一花は、ゆっくり息を吸って
「……考えてみる」と答えた。
その声が、
一花の中で、静かに残っていた。
