名前のない香水

朝の教室に入ると、少し胸の奥が重い。

深呼吸をして、気持ちを落ち着ける。

大丈夫、今日も平気。

でも、ペンを握る手が微かに震えた。
ノートに向かう指先が、いつもより少しだけ
ぎこちない。

視線を横にやると、桐谷くんがふとこちらを見た気がする。胸の奥がきゅっと締めつけられる。

――気のせい、そう思いたい。

授業が始まる前、背中に小さな違和感。

ん? 何か変。重い。じわりと熱を帯びる。
胸の奥が少しざわつく。

その瞬間、はっとする。


――予定より早く、来てしまったかもしれない。