息を切らしながら病院に飛び込む。
自動ドアが開く。
消毒液の匂い。
白い光。
受付のざわめき。
桐谷は辺りを見渡す。
いるわけない。
そう思いながら。
——いた。
ロビーの端。
長椅子に座る後ろ姿。
見覚えのある背中。
一花のお母さんだ。
桐谷の足が止まる。
鼓動が、耳の奥で鳴る。
どう声をかける。
なんて言う。
それでも。
「……あの」
小さく声を出す。
お母さんが振り向く。
一瞬、驚いた顔。
すぐに、柔らかく整える。
「桐谷くん……?」
なぜここに、という問いが
その目に浮かぶ。
桐谷は唾を飲み込む。
「さっき……見かけて。
一花、体調悪そうで」
ごまかせない。
嘘もつけない。
お母さんは、少しだけ目を伏せる。
迷っている。
言うべきか。
隠すべきか。
「一花は……」
そこで言葉が途切れる。
診察室の扉が、開く音。
桐谷の視線が、そちらへ向く。
白い壁。
静かな廊下。
まだ姿は見えない。
でも。
胸が、締めつけられる。
何かを隠している気がした。
桐谷は、まっすぐお母さんを見る。
「俺……何も知らないんですか?」
その一言で、
空気が変わる。
自動ドアが開く。
消毒液の匂い。
白い光。
受付のざわめき。
桐谷は辺りを見渡す。
いるわけない。
そう思いながら。
——いた。
ロビーの端。
長椅子に座る後ろ姿。
見覚えのある背中。
一花のお母さんだ。
桐谷の足が止まる。
鼓動が、耳の奥で鳴る。
どう声をかける。
なんて言う。
それでも。
「……あの」
小さく声を出す。
お母さんが振り向く。
一瞬、驚いた顔。
すぐに、柔らかく整える。
「桐谷くん……?」
なぜここに、という問いが
その目に浮かぶ。
桐谷は唾を飲み込む。
「さっき……見かけて。
一花、体調悪そうで」
ごまかせない。
嘘もつけない。
お母さんは、少しだけ目を伏せる。
迷っている。
言うべきか。
隠すべきか。
「一花は……」
そこで言葉が途切れる。
診察室の扉が、開く音。
桐谷の視線が、そちらへ向く。
白い壁。
静かな廊下。
まだ姿は見えない。
でも。
胸が、締めつけられる。
何かを隠している気がした。
桐谷は、まっすぐお母さんを見る。
「俺……何も知らないんですか?」
その一言で、
空気が変わる。
