名前のない香水

桐谷くんが来た日から、
一週間くらい経ったのかな。

カーテン越しの光が、やけに白い。

まだ、学校には行けない。

今日は病院に行く日。

体調も、正直よくならない。

このまま入院になるかもしれないな。

そう思うと、胸の奥がひやっとする。

スマホを開く。

既読のまま止まったトーク画面。

最後のメッセージは、桐谷くんから。

——「無理すんなよ」

返信、できなかった。

打っては消して、
打っては消して。

会いたい。

桐谷くんの顔が見たい。

ちゃんと目を見て、
「大丈夫だよ」って言いたい。

……会いたいよ。

声に出すと、
涙がこぼれそうで。

枕に顔を押しつける。

好きなのに。

好きだからこそ、
今の自分を見せたくない。

でも。

それでも。

会いたいよ。