神に選ばれなかった者達 前編

そして、お兄ちゃんが頑張って通わせてくれた、私の中学校生活と言うと…。






「あ、おはよーのぞみ」

「おはよう」

私が教室に入ると、クラスメイト達が挨拶をしてきた。

と、同時に。

「やっと来たぁ。もう、来るの遅いよー」

その女友達が、私の傍に駆け寄ってきた。

遅いって言われても、仕方ないでしょ。

私はあなた達より、ずっと遠くから来てるんだから。

…なんて言ったら角が立つから、言えないけど。

「ごめんごめん。それで、何?私に何か用でもあったの?」

「そうなの。お願い、数学の宿題写させて」

…登校して僅か数分足らずで、宿題のノートを見せることを要求された。

…まったくもう…。

「…あのね…」

これが初めてじゃないのだ。

これまでも何度も、この「宿題見せて」攻撃を受けたことがある。

その度に、「宿題くらい自分でやりなさい」とは言ってるのだけれど…。

未だに、そんな気はまったくないらしい。

「良いじゃん、お願い。のぞみと私の仲でしょ?私達友達でしょっ?」

「友達だけど…宿題を写させるかどうかは別の話でしょ」

「そう言わないでさぁ、お願い!」

…もー…。

そうやって拝めば、私が言う事聞くと思って…。

…まぁ、実際何だかんだ言いつつも、見せてあげてるから。

それが良くないんだろうとは思うけど。

でも、今回はもういい加減に、友達を甘やかすのはやめよう。それも優しさだ。

しかし、友達の次の一言で、事情が変わった。

「そう、ほら…お昼に購買で好きなもの、何でも奢ってあげるから」

…え。

「…ほんとに?」

私は、わざとらしくジト目で尋ねた。

「ほんとほんと。約束するから」

「まったくもう…。そんなんで私を釣れると思って…」

「ね、お願い。お願いだから。今回だけだからー」

今回だけ、一生に一度のお願い、行けたら行くわ、などの言葉は信用に値しない。

実際、この台詞も、既に何度も言われたことがあるし。

…でも、購買で奢ってもらえるとなると、話は変わる。

「はぁ…呆れた。もう、今回だけだからね?」

「ありがと、のぞみー!」

渋々、といった調子で、ノートを差し出したけれど。

実は、内心ガッツポーズをしていた。