神に選ばれなかった者達 前編

お兄ちゃんと向かい合って、二人でもそもそと朝ご飯を食べながら。

「…はー…」

私は、思わず大きな溜め息をついてしまった。

「…?どうしたの、のぞみ。美味しくない?」

「え?いや、そうじゃなくて…ちゃんと美味しいよ」

「それじゃ…。…昨夜のこと?」

「…うん」

「まだ気にしてたんだ」

…気にするよ…。当たり前じゃない。

「上手く行くと思ったんだけどな…。…落とし穴作戦」

『処刑場』の他の仲間とは、現実では、アプリの掲示板を通してしか連絡出来ない。

でも私は、お兄ちゃんとなら、いつでも話が出来る。

その分、私は他の仲間よりかは恵まれていると言って良いだろう。

「そうだね…。でも仕方ないよ。バケモノ退治はいつもそうじゃないか。一筋縄で行った試しがない」

「それはそうだけど…。でも、私のせいで…」

「のぞみのせいじゃない。何度も言っただろう?」

…それも、そうだけど。

「のぞみが責任を感じる必要はないんだよ。遅かれ早かれ、落とし穴計画は頓挫してた。落ち込むよりも、別の方法を考えよう」

「別の方法、か…。…どうしたら良いのかな…」

「大丈夫。のぞみは何も心配しなくて良いんだよ」

お兄ちゃんは、昔から何度も何度も、飽きるほど言った台詞を、また私に向かって言った。

「何があっても、のぞみのことはお兄ちゃんが守ってあげる。だから安心して」

「…お兄ちゃん…」

…分かってるよ。

だけど、私だって…守られるばかりじゃなくて、お兄ちゃんを…仲間達のことを守りたかった。

役に立ちたかった。頼りにされたかった。

お兄ちゃんみたいに。

それなのに、未だに私は…お兄ちゃんに守られるだけの、雛鳥のまま。

「さぁ、のぞみ。気持ちを切り替えて、学校に行っておいで」

「うん…。…そうだね」

お兄ちゃんに報いる為にも、勉学を疎かには出来なかった。

気持ちを切り替えて、授業を受けなければ。

「お兄ちゃんも、今日はお仕事に行くの?」

「うん、そのつもりだよ。…のぞみの学校が終わる頃には帰るから」

「大丈夫だよ。もう小さい子供じゃないんだから、留守番くらい出来るよ」

…って言っても、お兄ちゃんは聞いてくれないんだけど。

「それじゃ、今日も一日頑張ろう」

こうして、今日も空音家の一日が始まった。